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倉庫作業の安全対策9選!重要性や知っておくべき法則も紹介
2025年2月3日(月)
この記事では、倉庫作業の安全対策とそれが必要な理由、知っておくと事故の分析に役立つ法則を紹介しています。安全対策を効果的に実施できれば従業員がケガすることなく働け、安定稼働につながります。倉庫のリスクマネジメントを担当している方や管理者の方は参考にしてください。
倉庫作業における安全対策は、従業員がケガすることなく業務を行うために必須です。
しかし、安全対策は倉庫内の環境により、どこにどのような施策を施すべきなのか変わってきます。
自社の倉庫に適した安全対策を実施するためには、ヒヤリハットの法則やハインリッヒの法則について理解が必要です。
この記事では、倉庫作業の安全対策の重要性やおすすめの対策9選、おさえておくべき法則について紹介しています。
自社倉庫の事故発生率を抑えたいと考えている方や、安全対策の考え方を知りたい方は参考にしてください。
倉庫作業における安全対策の重要性

倉庫作業における安全対策の重要性を各事故別に紹介していきます。
倉庫内で起きる可能性のある事故は以下のとおりです。
- 転倒事故
- 転落事故
- フォークリフト事故
- コンベアなどの機器との接触事故
順番に解説していきます。
転倒事故
倉庫作業中の転倒事故は、労働災害の中でも最も発生率が多く、重量物の手運びによる視界不良が主な原因です。
中央労働災害防止協会の調査によると、令和5年の転倒事故件数は224件で全体の24%を占めています。転倒事故が多い理由は、足元が見えにくい状態で倉庫内を移動するため、段差や荷物があっても避けることができないからです。さらに、両手がふさがっているため、転倒時に手を使って受け身を取ることもできません。骨折や打撲など受傷するリスクも高まります。倉庫作業での事故発生率を大幅に減らすため、転倒事故への安全対策を優先的に実施することが重要です。
転落事故
倉庫での転落事故は、トラックのテールリフトで積み荷を下ろす際や台車に荷物を載せて運んでいるときに発生しやすいです。
転落事故は大きなけがにつながる確率が高く、転落箇所に他の作業者がいた場合、事故に巻き込まれる可能性もあります。
特に、高さ2m未満の箇所で多発する傾向にあります。労働安全衛生規則では、高さ2m以上の箇所において墜落防止措置を義務付けています。そのため、事故が起きにくくなっていますが、2m未満の箇所には明確な規則はなく、安全対策が手薄になりがちです。その結果、高さ2m未満の箇所での墜落・転落事故が生じやすくなります。一度に複数人の従業員がけがを負い働けなくなると、生産性の低下にもつながるため、高さに関係なく安全対策が必要です。
フォークリフト事故
倉庫内では重量物を運ぶためにフォークリフトを利用する場面が多くなります。フォークリフトの運転手は運転に集中するあまり周囲の安全がおろそかになりがちです。特に、フォークリフトが方向転換やバックをする際に、周囲の人との接触事故が発生するリスクがあります。
また、フォークリフトの運転ミスや不安定さから、転倒・転落による死亡事故も起きているため、安全対策が必須です。
フォークリフトの安全対策では、操縦に慣れていない運転手だけでなく、周囲にいる全ての従業員が互いに注意を払い、安全意識を高めることが重要です。
コンベアなどの機器との接触事故
倉庫ではフォークリフト以外にもベルトコンベアやトラックローダー、台車などの運搬用機器を利用します。
さまざまな種類の機器が作動しているなかで作業するため、ふとしたことで運搬用機器と接触してしまいけがをする恐れがあります。
また、台車で高さのある荷物を運ぶ際は、視界が遮られやすく、周囲の確認が難しいため事故につながりやすいです。経路が区分けされていない場合や狭い道を移動する場合も、注意が必要です。運搬用機器との接触事故は、運搬中の荷物の破損にもつながります。接触事故を起こさないためには、作業エリアを明確に区分けし、安全に運搬できる環境を作ることが重要です。
倉庫作業の安全対策時におさえておくべき法則
倉庫作業の安全対策を考える前に、ヒヤリハットの法則とハインリッヒの法則を理解する必要があります。ヒヤリハットの法則とハインリッヒの法則を活用すれば、どこにどのような安全対策を実施すれば良いかがわかるでしょう。それぞれ解説していくのでしっかりと理解しておきましょう。
ヒヤリハットの法則
ヒヤリハットの法則は、日常の倉庫業務中にケガをしそうになった「ヒヤッ」「ハッ」とした体験を報告してもらい、事故を起こさないための安全対策を考える方法です。
倉庫作業でのヒヤリハット事例を紹介します。
- 残業時間中にトラックの積み荷を下ろす作業をしている最中にバランスを崩して落ちそうになった
- 雨の日に濡れた靴のまま倉庫内で作業していたら、足を滑らせて転倒しそうになった
- 棚にぶつかった衝撃で保管中の荷物が落下しそうになった
ヒヤリハット体験は、実際に起きうる可能性のある事故です。
起きていないからと軽視せずにしっかりと対策を講じることで従業員への被害を未然に防ぐことができます。
ハインリッヒの法則
ひとつの重大事故が起きるまでに、軽微な事故が29件、ヒヤリハットが300件起きていると証明したのがハインリッヒの法則です。
ハインリッヒの法則を倉庫の安全対策に活かすためには、ヒヤリハットを可能な限り減らし、軽微な事故や重大事故につなげないことが大切です。
そのためには、ヒヤリハット事例を従業員から募り、一つひとつのヒヤリハットに対して的確な対処法を実施する必要があります。
倉庫作業で強化すべき具体的な安全対策9選

倉庫作業で強化すべき具体的な安全対策を9種類紹介します。
- 棚や大型機器を連結・固定する
- 棚やラック周辺にポール・ガードをつける
- フォークリフトの動線を整備する
- 倉庫内の整理整頓を徹底する
- 荷物・商品の落下防止策を講じる
- 従業員の動線・作業場を見直す
- 従業員同士の声掛けを徹底する
- 倉庫従業員の安全教育を徹底する
- 危険エリア発見・注意喚起のためのソリューションを導入する
紹介する安全対策を参考に、自社倉庫の環境に適した安全対策を実施しましょう。
棚や大型機器を連結・固定する
棚や大型機器の連結・固定は、倉庫内での事故を減らせるため安全対策として有効です。
棚の安全対策として天つなぎやベルト固定があります。
大型機器にキャスターが付いている場合は、キャスターに車輪止めを施してください。キャスターが付いていない場合は、転倒防止のため壁や柱に固定すると揺れによる動きを制限できます。棚や大型機器の連結・固定は、特に地震のときに効果を発揮します。地震が起きたときに棚が倒れて従業員が下敷きになる、または荷物が落下して重大なけがにつながるなどのリスクを大幅に軽減します。その他、日常的な倉庫作業中に大型機器が揺れで動き、従業員にぶつかる事故を防げます。
棚やラック周辺にポール・ガードをつける
フォークリフトや台車などで荷物を運んでいるときは、視界も覆われやすくなるため、棚やラック、周辺機器に衝突する可能性が高まります。
ポール・ガードや支柱ガードなどの緩衝材をつけると安全対策として効果的です。
ポール・ガードをラックの四隅周辺に設置すれば、意識的に大回りして通過しなければならなくなるため、ラックや棚との衝突を回避できます。人だけでなく荷物や運搬機器も守れるため、優先的に設置しましょう。また、支柱ガードをラックや棚にはめ込めば、仮にフォークリフトや運搬機が接触した際にも緩衝材となり、衝撃を吸収してくれます。
フォークリフトの動線を整備する
倉庫内では、フォークリフトと作業員が同じ空間で作業するため、事故のリスクが常に存在します。
リスクを最小限に抑えるためには、動線をしっかりと整備することが不可欠です。
例えば、次のような方法があります。
- コーナーミラーを設置し死角を解消する
- 注意喚起バーを設置し危険エリアを明確に知らせる
- バックする際に後方警告音を鳴らし周囲の従業員に注意を促す
また、荷積み作業の際、搬入口の段差からフォークリフトが落下する危険も考えられます。搬入口に開閉可能な柵を設置したり、防止バーを設置するなどの対策も検討してください。安全対策は、単独で実施するのではなく、複数組み合わせることで、より効果的です。フォークリフトの運転者だけでなく、周囲で作業する人全員が安全に作業できるよう注意喚起する必要があります。
倉庫内の整理整頓を徹底する
倉庫内に物が乱雑に置かれていると転倒のリスクが高まるため、整理整頓を徹底する必要があります。転倒事故は、倉庫内で起きる事故の25%を占める、最も起きやすい事故です。整理整頓するための方法は以下のとおりです。
- 整理整頓のルールを決める
- 倉庫内の物品に優先順位を付ける
- 収納場所をエリア分けする
- 不要なものは破棄し物量を減らす
倉庫内の棚に置く物品を種類ごとに分け、ルールにしたがって配置しましょう。
整理整頓を徹底し通路上に物を散乱させなければ、転倒事故発生件数の減少が期待できます。また、落下によるけがのリスクを防げるほか、どこに何が置かれているかわかりやすくなり、仕事の業務効率も向上します。従業員たちに常に整理整頓を心がけ、安全意識を持たせることを忘れないようにしましょう。
荷物・商品の落下防止策を講じる
棚や大型機器を固定するのに加え、荷物・商品が棚から落下しないよう対策を講じることも大切です。
落下物が従業員に衝突し、けがや事故につながるリスクがあります。また、商品が落下し、破損・変形してしまった場合、顧客から損害賠償を請求される恐れもあるでしょう。
例えば、次のような落下防止の対策例があります。
- 棚の前面にチェーンやポールをつける
- 左右にスライドできる強度の高いはしご型のサクをつける
- 棚の前面を落下防止ネットで覆う
取り扱う商品の重量やサイズに応じて適切な対策を取りましょう。
従業員の動線・作業場を見直す
従業員の動線・作業環境の見直しも忘れてはいけません。
改善の具体例は以下のとおりです。
- 各通路の色分けをし見ただけでわかるようにする
- 商品の位置から運搬先までの動線を短くする
- 地面注意喚起シートを貼る
- 高所に転落防止の手すりを設置する
- 機器稼働時の注意喚起のために表示灯を設置する
動線を変更したあとはしばらく様子を観察し、不便な点がないかや効率が低下している箇所がないか確認しましょう。
従業員同士の声掛けを徹底する
倉庫内で作業する従業員同士で声掛けを徹底すれば事故発生を防げます。
例えば、トラックや台車から荷物を下ろしている人の後ろを通る際は「後ろ通るよ」、フォークリフトをバックさせるときは「バックします」などと声を掛けると、周囲にいる人へ注意喚起できます。
声を掛けても周囲の騒音や相手が作業に集中している場合は、聞こえていない可能性があるため、作業を開始しないようにしましょう。さらに、「声掛けに対して手を挙げる・返事をするといったアクションが見られてから作業する」とルールで決めておくと事故発生率は下げられます。声掛けは、事故が起きる直前で食い止められる最後の手段でもあります。積極的に声掛けを行っていきましょう。
倉庫従業員の安全教育を徹底する
動線の色分けや声掛けを徹底していても意味を理解していないと有効利用できないことがあります。
そのため、倉庫内の安全対策では倉庫従業員に対しての教育も重要です。

出典:「15.陸上貨物運送事業における労働災害発生状況(令和4年)」(厚生労働省)
厚生労働省の調査によると、経験年数別の労働災害の発生状況は、5年以上10年未満が最も多く20.0%、次いで1年未満の15.5%、3年以上5年未満は14.9%となっています。比較的経験年数の浅い層の発生率が多いものの、すべての経験年数で事故が生じていることがわかります。そのため、入社したばかりの従業員はもちろん、数年経過している従業員に対しても定期的に社内のルールや安全対策の重要性を理解してもらうことが大切です。
重ねて安全教育を実施する、最新の安全対策を周知するなど安全意識を底上げし、事故やけがの発生防止に努めましょう。
危険エリア発見・注意喚起のためのソリューションを導入する
倉庫内の安全対策には、監視カメラを利用する方法もあります。
AIネットワークカメラを活用すると、危険エリアを監視しながらエリア内に近づいた人に対して自動で警告を発せられます。
監視カメラを利用した安全対策のメリットは、人の手を借りず、接近した人に対して毎回注意喚起ができる点です。
危険エリアが複数ある場合、人員の確保や就業時間の調整が必要となる場合もあります。
その際、体制の構築に手間を要するうえ、リソースが足りなければ結果的に危機管理が不十分となる恐れがあります。
しかし、監視カメラを導入すれば、昼夜を問わず危険を知らせられます。
また、監視カメラの映像はスマートフォンへリアルタイムで通知されるため、管理者はいつでも現場の状況を確認し、迅速に対応することが可能です。
さらに、レコーダーへ記録された映像は後から見返すことができ、安全対策の研修を行う際に活用できます。
監視カメラの利用は、コストやリソースを削減しながら注意喚起を徹底できるとともに、従業員の安全意識醸成にもつながります。
人手不足や広大な倉庫を保有しているケースでおすすめの方法です。
まとめ
倉庫作業の安全対策は、従業員や保管物品を保護するために重要です。
日々の小さな危険サインが重大事故につながる可能性を秘めているため、ヒヤリハットの収集と分析を怠らず、効果的な安全対策を実施することが大切です。
今回紹介した安全対策9選を参考にしつつ、自社倉庫の安全性を高めましょう。
稲沢商会では、AIネットワークカメラを用いた監視システムの構築をサポートしており、安全対策の強化をお考えの企業様はぜひ当社にご相談ください。
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